UFO in '70s
1970年代のUFOブームについて
70年代のアダムスキー動向周辺
※この記事は2019年2月にブログに上げた記事の書き直しです。
前回、70年代日本UFO研究史のメインストリームでないムーブメントについて(ホンの一端ですが)書いたのですが、アダムスキー問題についても、僕が当時集めた資料をもとに周辺的なことを少し書いておこうと思います。
日本GAP
日本GAPは、久保田八郎氏が、あの『コズモ — UFOと宇宙』誌を創刊(1973年)させるよりも前の1961年に設立した日本のアダムスキー支持団体です。団体そのものについて詳しくは、ネット上にも情報はあるので、割愛させていただきます。
前々回の記事で、1977年はアーノルド事件から30周年ということもあってUFO展が多く行われた年だったと書いたのですが、同じ1977年には、日本GAPの総会も大きな規模で行われたことが同会のニューズレターからうかがえます。


記事によると570名収容のヤクルト・ホールの大ホールが満員になったとあります。570名というのは実際はそれほど大きな規模とは言えないかもしれないですが、それでも「アダムスキー哲学」への当時の日本における関心の強さを感じる数字ではあります。
この時期、日本GAPは東京の本部以外に、大阪、高知、新潟、熊本、福知山、岐阜、仙台、山形に支部があり、アダムスキー著の『宇宙哲学』『生命の科学』『テレパシー』をテキストして毎月月例勉強会を行っているという同誌の報告記事からも、そのことがうかがえます。
UFO教育グループ
たま出版の社長であり、時々テレビ番組などで某大学教授と激論をかわしている(いた?)韮沢潤一郎氏ですが、1970年代にはアダムスキー支持団体である「UFO教育グループ」の主幹を務めています。
グループの機関誌で韮沢氏が編集する『UFO教室』3号(1978年1月)、4号(1978年4月)と1978年5月の講演会のチラシ(写真)を、僕は当時(もはやどういう経路だったか不明ですが)入手していました。講演会のチラシは「楽しい人生を送りたい方。UFO、生まれ変わり人間を愛する事、生きる目的、宇宙、自己の改善、テレパシー等に関心のある人来たれ!」とうったえています。

この講演で来日したシャーロット・ブロッブ女史が、アメリカの「UFO教育センター」の指導者で、同センターはアダムスキー自身によって活動が始められたらしく(同機関誌のポール・ルーツ記者翻訳記事による)、この1978年時点でセンターには日本人として古山晴久氏がかかわっておられ、同誌によると、同センターは日本の「UFO教育グループ」の「母体」であるとされています。そして、センターの活動は、諸惑星からの来訪者たちと交流を持ちながら、世界で政界、学会、一般に対して活動(啓蒙活動?)を行っていると説明しています。
残念ながら、どの程度の規模で活動されていたのか、日本GAPとはどのような関係なのかが、手持ちのわずかな資料からはわかりませんでした。
C.R.C (N.S.R.C JAPAN)
C.R.C (Cosmo Research Consortium) は『聖書とUFO』、『キリスト宇宙人説』(ともに1974年大陸書房)などの著者である山本佳人氏が1971年から(当時東京芸大22才)かかわった団体です。山本佳人氏の活動としてはSPNWというのがあったようですが、それは80年代以降のことで、70年代においてはC.R.Cになります。
C.R.Cは、イギリスのジョン・サール氏が創始した有人宇宙飛行計画事業を展開し反重力推進を研究する組織、N.S.R.C(National Space Research Consotium)の日本支部として1970年10月に発足したグループでN.S.R.C(JAPAN)という名称でした。しかし日本では、その機関誌『宇宙通信』を当初から「宇宙哲学と科学の研究誌」とうたっており、例えば、前述のアダムスキー支持団体のシャーロット・ブロッブ氏の文章なども掲載していました。
ちなみに、『宇宙の四次元世界』(1971年)、『空飛ぶ円盤製作法』(1975年)、『実験円盤浮上せり』(1978年)などの大陸書房刊の著書のある清家新一氏は英国N.S.R.Cのメンバーで、この『宇宙通信』にも論文を掲載しています。
1972年4月の『宇宙通信』で「NSRC日本支部改称—CRC(宇宙研究協会)」の報告があり4月1日にC.R.Cに改称しています。そしてこの年、同誌はアダムスキー特集として4号に渡り山本佳人氏の論文を中心に極めて熱心なアダムスキー関連の翻訳記事やエッセイを掲載しています。韮沢氏や古山氏の寄稿文もありました。


また、C.R.Cには大阪ブランチがあり、京都大学UFO超心理研究会の創設者の浅井総一氏が、C.R.C大阪ブランチ独自の機関誌『CRCタイムス』を刊行しています。しかし、前の記事(「ブーム直前:1973年」)で引用した『地球ロマン 復刊2号』の対談で中園氏が指摘しているところでは、それは一種の「独立王国」であったようですが、やはりアダムスキーを支持している点では同じでした。(逆に浅井氏はチベット密教系つまり神智学系の「ヒマラヤ聖者研究会」としても活動していた点では、後述しますがむしろ(別の意味で)正統なアダムスキー派であったとも言えるかもしれないですが、それは別の話で)
さて、1972年1月の『宇宙通信』には、新年の挨拶のような形で山本佳人氏著名の「読者各位」という別紙添付がありました。これによると、この時点での会員数は「350余名」とあります。また、日本GAPとの関係についても書かれていました。それによると「本会は1970年秋[略]、より総合的な史観とプログラム[略]を達成しようというメンバーが協力し合って、日本GAPから独立し独自の工程を歩み始めたわけです。[略]同年10月5日本紙編集者と日本GAP代表の話し合いが行われ、[略]連携協調していくことが確約されました。」とあります。
テレビのバラエティー番組などでも、例えば「これは、いわゆるアダムスキー型UFOですね」などと半笑いのドヤ顔でちょっとUFOには詳しい系のタレントが言うほど、ポップな存在になった「アダムスキー」ですが、上記のような別種の熱狂が当時はあったということが少し伝わればと思います。(ネット検索してみると、現在でも『生命の科学』をテキストとして学習会を行う団体や、久保田八郎氏の関係者の方の活動などはあるようです。)
アダムスキーの教義とはどういうもので、上記のようないろいろな機関誌に、その教義についての何が書かれているかは、ここには書きませんが(興味のある方もほとんどいないでしょう)、思想の位置づけとしては、大田俊寛氏の『現代オカルトの起源』(ちくま新書 2016年)に書かれているように、基本的には神智学の直系思想(教義)であったのだと思います。
大田氏はこの本で、アダムスキーが宇宙人とコンタクトする前に結成していた「王立チベット教団」の『王立チベット教団による問答集』の内容は、この本の前段で解説しているブラバツキーをはじめとする19世紀末のオカルティズムである神智学の教義内容のまさに簡略版であることと、宇宙人とのコンタクト後もその構造は変わっていないと指摘しています。このことは『オカルトの帝国』(青弓社2006年)の吉永進一氏(ところでこの吉永氏もまた稲生(横山)氏同様、京大UFO超心理研究会出身だと思うのですがどうなのでしょう?不確かです)の論文などでも以前から明らかにされていることですが、大田氏の著書では、19世紀末のブラバツキーの教義からの歴史的経緯を「霊性進化論という思想体系がある」という観点で体系的に説明している点で興味深いです。
一方、『ぼくらの昭和オカルト大百科』(大空出版2012年)では著者の初見健一氏は、アダムスキーについて言及している項で、このような潮流について「UFOが心の"内部"の問題として扱われている」と言い表し、「この"感じ"をもつ"UFO"観は、[略]日本では80年代以降[略]別種の大きな流れとなった、いわゆる"ニューエージ"系の潮流だ」と指摘していて、「ニューエージ」に属するとしています。それもそのとおりだと思うのですが、つまりは、「アダムスキー哲学」は大田氏の著書の指摘のように、神智学的オカルティズムに基づく「求道的」なムーブメントとして発展し広がったのですが、やがてその潮流は、このあとの80年代にかけてニューエイジ的なムーブメントにカタチを変えたり、置き換わったりしていったのではないかと思います。逆にいうとその転換点が日本の場合、70年代のどこかにあったのかも知れません。
今回は以上です。
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