UFO in '70s
1970年代のUFOブームについて
『美しい星』、CBA、平野威馬雄
※この記事は2017年5月にブログに上げた記事の書き直しです。
三島由紀夫の『美しい星』をもとにした映画がまもなく公開されるそうですね。重一郎は原作とは違いお天気キャスターという設定で、リリーフランキーが演じるとか。一体どういうふうになるんでしょう。期待と不安がない交ぜになるとはこのことです。

三島由紀夫の『美しい星』 は、1960年代に活発な活動をしていたCBA(宇宙友好協会)という実在の空飛ぶ円盤研究団体のコンタクティ松村氏をモデルにしている(らしい)というのはよく知られているところです。
CBAについてはとにかく物議を醸す話が多いですが、そのスキャンダラスなすっぱ抜きを70年代にかけてしたのが平野威馬雄(本業はフランス文学研究)でしょうか。僕は氏の著書『円盤についてのマジメな話』(1973年刊)を買って読んだことがありました。その本はもう無くしてしまったのですが、なんとつい先日、古本市で見つけました(写真)。

ちなみに、この表紙のイラストは和田誠ですね。和田誠は平野威馬雄の娘の平野レミ(現在タレント、料理愛好家?)の旦那さんで、二人は1972年に結婚しているそうですから、それはこの本の発行年の前年ということで、なるほどと。関係ないですが、そういえばつい最近、その和田家のミュージシャンの息子とタレントの上野樹里さんが結婚とかいう話題があったばかりです。さらにちなみにで言えば、平野レミさんも父親の円盤取材に同行したりしています。平野威馬雄著『空飛ぶ円盤のすべて』(1969年刊)の「長い前書き」の中で、愛知県のコンタクティーの取材に行くくだりにこんなのがあります。
そこでぼくは五月二十八日夜の汽車で名古屋に向かった。携帯品はソニーの録音機と、円盤や宇宙人のミステリーに深い関心をもっている娘のレミ(文化学院英文科卒業、目下シャンソンを唄っている楽しく底抜けに明るい娘)であった。(『空飛ぶ円盤のすべて』P11/1969年刊)
閑話休題。
同じ古本市でこれも見つけました(写真)。平野威馬雄著『それでも円盤は飛ぶ!』(1960年刊)です。この本には平野氏自身が体験したCBAの集会での出来事やその周囲の人たちへの取材の話が臨場感を持って書かれていて(面白いと思う人には)大変面白い本です。

CBAという団体は、実体はそうでもないのかもしれないのですが、なんだか謎に満ちています。例えば、前回の記事で書いた稲生氏の『何かが空を飛んでいる』にはこんなふうに書いてあります。
……「宇宙友好協会(CBA)」という世界に誇るべき(?)カルトも形成された。CBAはその行動性、熱狂性で群を抜いており、地軸がもうすぐ傾いて世界は破滅、異星人の宇宙船に乗っけてもらって助かるんだという「教義」のゆえに、悲喜劇を展開することとなった。なお、三島由紀夫の快作『美しい星』は、CBAのことを知らないと理解できない部分が多いので要注意。そうそう、CBAといえば、僕には個人的な思い出がある。僕が70年代に円盤ムーブメントに足を突っ込んでいたことは話したよね。で、その頃、CBAなんて幻の団体というか、とっくの昔につぶれていると最初思ってたんだけれど、ところがどっこい、円盤の裏の世界で依然として精力的な活動を続けているのを目撃して、驚いてしまった。このへん、ほんまにやばいような気もするので、詳しく語るのはやめにしよう。(『何かが空を飛んでいる』p57)
僕が多分その稲生氏(横山氏)の出身先(?)と推測している京都大学UFO超心理研究会の『宇宙波動』No.19(1979年刊)「昭和53年度卒業生インタビュー」でその時の卒業生の深川氏が述べている研究会創設の話があるのですが、そこにもCBAの名前が出てきます(引用の[]括弧書きは僕の注記)。
深川:浅井さん[京大UFO超心理研究会創設者]の下宿が変わっていて、そこの大家さんがUFO研究家で、CBAからアダムスキー派になった人で、そこには森田健[ママ。守田の間違い](青パッチ)沖(オーラ見者)児玉氏ら、のちのUFOゴロ、オカルトゴロの卵たちがゴロゴロしておりました。そのメンバーで11月祭[京大の文化祭]でUFO展をやりました。(『宇宙波動』No.19 p35/1979年10月刊)
三島由紀夫が荒井欣一氏主宰のJFSA(日本空飛ぶ円盤研究会)の会員でUFO観測会にも顔を出していたことなどはよく知られるところですが、案外、そういった活動を通じて三島氏は、『美しい星』の重一郎が社会を冷ややかに観察しつつ、かつ一方である種の「愛情」を抱いていたのと同じように、日本の「円盤業界」を見つめていたのかも知れません。
平野氏の本についてはまたそのうち紹介したいと思います。
とりあえず今回はここまで。
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