不識、喫茶去
日本画と文化について
NHK「第2回 江戸あばんぎゃるど」私的まとめ-その2
※この記事は2019年2月にブログに上げた記事の書き直しです。
2019年2月に放送されたNHKの「第2回 江戸あばんぎゃるど — ガラスを脱いだ日本美術」の私的まとめです。第1回の「アメリカ人が愛した日本美術」の私的まとめの続きで、第2回のその2です。
番組の多分ハイライト的なシーンのひとつである京都嵯峨嵐山の二尊院の畳の部屋での円山応挙の「鳥図屏風」の映像。その朝から夜までの時間経過を映し出した後、映像はニューヨークへ飛び、美術商のレントン・ロンギ氏が登場した。
レイトン・ロンギ
ネットで調べると、ロンギ氏はニューヨークのJADA(The Japanese Art Dealers Association)という日本美術商やギャラリーのための非営利団体のDirectorの1人らしく、JADAのサイトには昨年(2018年)のAsia Weekでの展示品の紹介や展示会の様子が載っていて、こんな楽しそうなものがあるなら是非ニューヨークに行ってみたいと思わせるものがある。
しかし、このサイトは上記記事掲載以降は更新されていないようだ。今年はAsia Weekは3月13日からなのだが、Asia Weekサイトを見てもJADAという名前は見えないなど、もしかすると今は活動していないのかもしれない。よくわからない。
さて、番組では、最初にロンギ氏が微笑みながら手に持っていたカタログに雲龍図の写真があった。ロンギ氏が見せているのは北野天満宮所蔵の海北友松「雲龍図屏風」で、2017年の京都国立博物館の「海北友松」展での、おそらくだが、図録本の232〜233ページだと思われる(もしくは外国人向けの別刷り?ページでの配置が酷似している)。海北友松という作家を番組スタッフに説明するために参考で見せていたのだろうか。

そして、ロンギ氏は探幽の屏風や、ロンドンのギャラリーで見つけたという海北友松の「龍虎図屏風」を見せた後、長沢蘆雪の「月夜山水図」の前に立って「印象派的である」というようなことを話したている。その時、この絵を私はどこかで見たことがあるような気がした。
実際は、別の絵だったのだが、よく似ている芦雪の絵を前に見ていたのだ。それは、2017年の愛知美術館での「長沢蘆雪」展に展示された公益財団法人頴川(えいかわ)美術館所蔵の「月夜山水図」だった。展覧会のチラシの裏面の左下に、この絵の図版が掲載されているので見覚えがあったのだ。繰り返し用いられているモチーフだとわかる。


そして次に登場した柴田是真の「鯉の滝登り図」も、またもや見たことがある気がしたが、これも別の絵だった。この場合は、実際は実物を見たのではなく、榊原悟著『日本絵画の遊び』(1998年刊,岩波新書)という本の中だった。著者が紹介しているのは野村美術館所蔵の柴田是真作「滝に登鯉図」で、こちらも「描き表装」の掛け軸である。
本にはモノクロの図版が掲載されていて、見ると鯉が水流で滝の外に弾き飛ばされて、もんどり打っている。ロンギ氏の鯉は虫に気を取られて滝から飛び出してしまっているし、どちらも「結局登れていない登鯉」の絵なのだなあと思うと面白い。
ガラス越しでなく絵を見るというのは、いくつかの展覧会でも試みられることがあるので、体験する機会はあるかもしれないが、リビングや和室に置いて間近に見るというのは、個人コレクターか美術商、またはこの番組のようなテレビ局の企画担当者でもない限り難しいのかもしれない。
しかし、例えば京都の祇園祭での「屏風飾り(屏風祭)」などもある。「屏風飾り」というのは、祇園祭の時期になると、京都で古い美術品や調度品などを秘蔵しているお家が、祭の見物に来ている人たちに外から見える範囲でそれらを披露するという一種の風習なのだが、いくつかの家では、有料の場合もあるが、座敷に上がって見せてもらえることがあるのだ。夜の座敷で屏風を見る機会を味わえる場合もある。

まとめは以上です。
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